やっぱりクリント・イーストウッドは格好良かった―。
少し前の放送だったけれど、ことしのうちに書いておきたい。
「グラン・トリノ」とは、かつてフォードが生産していた自動車。映画には72年式が登場し、イーストウッド演じる主人公自身が、工場に勤めステアリングなどを組み立てた、と話している。
アメリカ大統領選では、製造業が衰退した地域を「ラスト・ベルト」(錆びついた地帯)と表現するのをよく聞いた。
映画の舞台は中西部とのことだが、こんな感じなのかな、と思って見ていた。
昔はみんなの憧れであったろう、こぎれいな住宅地。
かつて労働者がまじめに働いて手に入れたのであろう、マイホームが並ぶ。
その住宅地も、いまはベトナム戦争の結果、逃れてきたアジアの少数民族に占められていて、家々の傷みがひどい。
街中もさびれてしまい、安全に歩くことさえできない。
息子は(恐らく他の州で)日本車のセールスマンをしている。
家の様子から見て、リッチな感じ。
息子の家族はイーストウッドとそりが合わないし、孫たちはイーストウッドの妻の葬儀で、最低限の敬意を払うこともできない。
頑固で強情なイーストウッドだったが、同じく頑固で強情な少数民族との交流が始まると、伝統を守る彼らのことが気に入ってしまう。
自分の敷地に入ってくるならず者(ボロいホンダの中古車に乗っている)には、遠慮なくライフル銃を向ける、イーストウッド。
教会の若い聖職者を侮辱するが、やがて心を開き、最後の場面ではきれいな十字架の形をして横たわるイーストウッド。
もちろん、こうした姿を無条件に賞賛できない人も大勢いると思う。
しかし、ある地域のある世代の信念のようなものを、見事に描き切っている。
そう感じる。
この映画は、見方や切り口によっていろんなストーリーが描ける、いい映画だと思う。
次、見る時はまた違った感想を抱くと思う。
なんか。
まじめなブログになっちゃいました―。